高齢者の「1人暮らし」増加は体力や健康に好影響?

高齢者を取り巻く環境で、平成・令和の時代における最も大きな変化は「3世代同居」の激減です。
65歳以上の人がいる世帯のうち、3世代同居は1989年に40.7%ありましたが、2019年には9.4%にまで減っています。

同じ期間、高齢者の1人暮らし世帯は14.8%から28.8%と約2倍になりました。
高齢の夫婦のみの世帯も20.9%から32.3%と約1.5倍になっています。
しかし、高齢の1人暮らしや夫婦のみ世帯の増加が、孤独・孤立や社会的不適応といった悪いことばかりにつながっているとはいえません。

2006年に発表された論文「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(鈴木隆雄氏)では、歩行速度の観点から、「2002年の高齢者は、1992年の高齢者より10歳程度若返っている」と結論づけられています。
それ以降に実施されている、スポーツ庁による「体力・運動能力調査」でも、高齢者の体はさらに若返りを続けていることが分かっています。
例えば、今の75歳の体力は30年前の60代前半に相当するレベルと考えられているのです。

このような急な体力の向上は、高齢者だけで生活する人が急激に増え、自分たちだけで自立した生活をするようになったこと、また、それを継続しなければならないという自覚が多くの高齢者に生まれたことでしょう。
3世代同居ならやらなくても済んだ家事や買い物を自分でする、さまざまな日常の面倒ごとを自分で解決する…といったことは大変であっても、健康や体力面には好影響を及ぼします。
体調維持や健康管理へのモチベーションも、3世代同居より高齢者のみで暮らす方が高くなるはずです。

意識の面も大きいでしょう。
3世代同居だと毎日、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれて大切にされますから、だんだんと「自分は年寄りなのだから出しゃばらない、人に任せる」といった意識が強くなり、知らず知らずのうちに“年寄りっぽく”なっていきます。
また、子や孫が普通にやっていることができない、難しいといった場面があるので、年齢による衰えを感じやすくなります。
それに比べれば、高齢者のみの世帯では衰えを自覚する機会が少ないため、意識が若々しくいられます。
このような意識が、体力の向上をもたらしたのかもしれません。

 

 

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