枕を変えると肩こりが治る

皆さんが悩んでいる「肩こり」の原因、それは神経が筋肉疲労や傷を察知して、脳に信号を送った時に感じる違和感なのです。いわゆる「コリ」と呼ばれる状態です。

人間は身体に対して重すぎる頭を支えているために、つねに微妙なバランスを取り続けていなければなりません。そして「肩こり」や腰痛は、そのバランスが崩れたときに起こります。

では、「肩こり」からの根本的な脱却には何が必要なのでしょうか。その大きな要因の1つに「肩甲骨の挙動を確保する」ことが注目されています。

肩甲骨が外側に開き、肩が前に出て、背中が丸まる……典型的な猫背の状態になると上部僧帽筋に負担が加わり「肩こり」を引き起こします。逆にいえば、肩甲骨を内側に閉じることで姿勢も整い、現代人の抱える「肩こり」も起きにくくなるのです。

それでは寝ている時の姿勢はどうでしょうか。人生の3分1を占める睡眠時も肩甲骨は外側に開いた状態になっていたことがわかりました。人にもよりますが、一般的な枕を使用している場合、頭部・頸部と敷ふとんの間にすき間ができてしまい、それが肩甲骨を外側に開いた状態にしていたのです。つまり寝ている間も「肩こり」の原因を作っていたといえます。寝ている間も正しい姿勢を保つことは重要です。

「肩こり」と枕の関係に着目し、ご自身に合った枕の選び方をご紹介します。

人は重い脳を支えてバランス良く動いています。そして人の脊柱は側面から見ると、連続した「S字状にカーブ」しているのですが、このS字カーブが重い頭や体重を支えるのに最も無理のない楽な姿勢を作り出しています。筋肉疲労も少なく、脊柱などにかかる負担も少ない状態であるため、寝ている間もこの自然な姿勢を保つよう、S字型の基点となる頸部を無理なく支えることが必要となります。

人は様々な姿勢を取ることができますが、身体に一番負担が少ない姿勢はリラックスして立っているときの状態。このときの顔の角度は約5度。寝ているときも、この状態を保つため、枕は敷ふとんと頭部・頸部の間にできるすき間を埋める役割を担います。もちろん体型によってすき間には個人差がありますので、人によって適した枕が違うということになります。

枕には、もう1つ大切なことがあります。それは「無理なく寝返りが打てる」ことです。これを実現させるためには、中身がかたよらずS字カーブの基点である頸部を支える枕であることは元より、いくつかの工夫を加えた構造が要求されます。

人は寝ている間に20〜30回の寝返りを打つため、仰向け・横向きのどちらにも対応できる構造が必要とされます。また首筋をやさしく支え、後頭部の丸みを自然に受け止める工夫なども考慮されているとさらに良いでしょう。両サイドはやや高めの設計で、横向きに寝た状態で肩の負担を軽減する構造になっていること等、自身の睡眠時の特徴に合わせ、どの程度対応しているのかにも注目して選択しましょう。

皆様は「枕の重さ」について考えたことはおありでしょうか? 頭の下にあるものなのに重さが重要だなんて、意外に思われる人も多いかもしれません。

しかし「すぐに枕がずれてしまい寝ている姿勢が保ちにくい」と感じる場合は枕が軽すぎる傾向にあり、「何だか寝返りが打ちづらい」という場合には、枕が重すぎる傾向にあるのです。つまり「枕の重さ」が適正でないことによって、せっかくの快眠が阻害されているかもしれないのです。

では、枕の適正な重さとは、どのくらいの重さだと思われますか? 残念ながら正解は1つだけではありません。1人ひとりの体重に合った重さを選ぶことが大切なのです。また重さの選択には、その人の寝姿勢や寝返りの頻度・状態も加味する必要があります。体重を基準に検討しながら、睡眠時の動きを制限して体圧が集中しないよう、自分に合ったバランスの良い枕の重さを探し出しましょう。

枕の充填材……つまり素材選びもまた大切な睡眠のためのチェックポイント。実は誰にでも完璧に合っている素材は存在しません。どんなに良い素材にも一長一短があります。かたさや香り、音色、感触の違いは人それぞれの嗜好が大きく影響するため、素材選びのポイントとしては、ご自身が使い慣れた感触であること、またはそれに近い感触の素材を探してみることをおすすめします。その上で、香りや音、そして、頭部・頸部の沈み込みを考慮した素材であることをプラス。何より違和感を感じず使用できることが大切です。

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